きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
「そこで診て貰うと、君の内には魔力があって。
 まだ幼くて、その制御が出来なくて、許容量が超えると高熱を出す、と……
 それで、この国に来てからの初めての高熱で、少し診せるのが遅れたせいで、目覚めた君は全部の記憶を失ってて。
 自分の名前も、最初に会ったのが俺だったのも、忘れてた」

「……貴方が拾ってくれなかったら、わたしはどうなっていたか、分からないのに。
 それを忘れるなんて……」

 俯くリデルを、ジェレマイアは抱き締めたが、今度は叩かれなかった。


「魔女なんて、力を持たない人間の戯れ言だよ。
 君の国には大勢居て、その力の強さは尊敬されている。
 グーレンバイツの皇位は世襲制ではなく、議会が候補者の中から、最も高い魔力を持つ人物を皇帝に選ぶ」

「グー?」

 北の大国グーレンバイツは、ここから余りにも遠過ぎて。
 聞かされたリデルには、よく分かっていなかったのだろう。


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