きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

7 リデル

 今日から1週間、父が勤める医療部は騎士団の演習に同行していたから、デイヴもエラも本邸には居ない。
 それ故、少しでも馴染みのある自分が指名されたのだろう、とリデルは思った。

 

 至急と言われて、取る物も取り敢えず、馬車に飛び乗った。

 何よりジェレマイア様が倒れられた、と聞かされたのだ。
 彼の様子を確認したかった。


 ジェレマイア様が苦しんでおられるのなら。
 痛みを我慢していらっしゃるのなら。

 それを少しでも楽にして差し上げたい。




 リデルとジェレマイアの間には、どうにもならない身分の壁が高く立ちはだかっていて、彼女の想いはどうしたって叶わない。


 それは5年以上も前の話で、ジェレマイアには婚約者以上に愛した男爵令嬢も居たし、ジェレミーへの想いを断ち切ったリデルの方にもクラークという恋人が出来た。

 幼かった頃はいつも手を繋いでいたけれど、もうふたりとも大人になったのだ。
 今ならお互いの立場に相応しい、新しい関係を築くことも出来るだろう。

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