きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

8 ジェレマイア

 卒業から半年経って、ジェレマイアはやっとイングラムに帰ってくることが出来た。

 これで縁切りしてくれるのではないか、と期待したのだが。
 父親はまだ不肖の息子に利用価値があると思っているのか、外聞を気にして次期領主の肩書きは奪ったが勘当はせず、このまま家に縛り付けておくことに決めたようだ。


 父親の考えそうなこれからの予定で1番確率が高いのは、領地経営の面倒な仕事だけジェレマイアに押し付けて、飼い殺しにする、なので。
 絶対に何があっても、この家から出ていってやる、と改めて決意を固めた。



 謹慎中は客室に部屋を移された。
 そこで大人しく反省しろ、ということらしいが。
 反省なんかするわけがない。


 ジェレマイアが想う事は、ただひとつ。


 会いたくて会いたくて、だが自由がなくて。
 どうしたらリデルに会えるのか。
 顔を見せてくれたデイヴに頼んでも、やんわりと拒否された。

 取り敢えずこの家を出てからの算段とリデルを迎えに行くための準備などを考えていたら、胃が痛んで朝食を戻してしまったところ、半ギレのリーブスに部屋に追い立てられた。

 リーブスには部屋まで付いてきたついでに、
「何を考えている、痩せ過ぎだ、もっと食べろ、薬に頼るな、体力が無ければ何も出来ない」と半ば脅しのような説教をされた。

 この家でジェレマイアに、親身になって面倒を見てくれたのはデイヴとリーブスなので、少々雑に扱われても腹は立たない。


< 26 / 225 >

この作品をシェア

pagetop