きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 どうして、お腹なの……とリデルは泣きたくなった。
 せめて腕や足だったなら。


 ちゃんと看護士として、ジェレマイアに接すると決めたくせに。

 何が『治療行為以外で、彼に触れたりしない』だ。
 治療行為以前の問題だ。 

 男性の裸など、職業柄それなりに慣れているはずなのに。
 それがジェレマイアだと、まともに見ることが出来ない。
 ましてや、素肌に触れるなど……駄目だ駄目だ、と頭の中で警鐘が鳴る。



 リデルはそれでも頑張って触ろうとしたが、ジェレマイアの腹部に向かって伸ばした自分の手が細かく震えているので、自己嫌悪に陥った。

 ジェレマイアに震えていると気付かれる前に、と慌てて手を引いたリデルを不審そうに、リーブスが見ている。
 当のジェレマイアと言えば、リデルが触診しやすいようにと気を遣ってくれたのか、何とシャツを脱いでしまった。


「どうしたの?
 触診するんじゃないの?」

「……あ、あぁ……触らなくても大丈夫……です。
 胃痛ですよね……それでしたら、薬を用意しますので」 

 
< 36 / 225 >

この作品をシェア

pagetop