きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

12 リデル

 12歳でイングラムから王都に出て、13歳から6年間貴族学院で1番多感な時期を過ごしてきたジェレマイアは、その間ずっと領地に居たリデルには想像もつかない、刺激的な毎日を過ごしていたのだろう。 

 これまで次期領主となられる若様に対して、そんなひがんだような考えは持っていなかったのに。


 再会したジェレマイアは元第2王子殿下のご学友で。
 食欲が戻らなくて痩せてはいても、華やかな容姿の青年貴族に成長していた。
 貴族学院では美しい貴族のご令嬢方を周囲に侍らせていたのであろう彼から見たら、田舎くさくて垢抜けないわたしなんか……と自己肯定感が低くなるのは、仕方のないことだった。

 
 それでもこんなに好きなんだ、と切なくなってしまって、リデルの情緒はぐちゃぐちゃで。


 その結果、出た答えは。



 やっぱり会わなきゃ良かった、だった。



  ◇◇◇



 治療院の院長からは、ジェレマイア様の診察後は治療院には戻らずに、本邸から直帰したらいい、と言われていた。
 まだ午後診も始まっていない時間なので、早帰りさせて貰ったようなものだった。

 普段であれば真面目なリデルは、直帰を了承されていても治療院へ戻ったのだが。
 こんなむしゃくしゃした気持ちのままで、良い治癒など出来そうもなくて、帰りの馬車を出すと言ってくれたリーブスに断って、徒歩で帰ることにした。



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