きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
「若様が次期ご領主様じゃないなら、次は誰になるんですかね?」


 その問いに、デイヴは言葉にして答えることなく、掌をエラに向けて「これ以上、この話はするな」と制した。


 イングラム伯爵の正妻から生まれた嫡子はジェレマイアだけで、愛人とその娘は別邸に居るが、庶子は爵位を継げない。
 つまり血縁のある家からの養子を迎えて継がせるのだろうが、それこそここで話す内容ではない。
 


 デイヴの無言の動作に、エラもこの件に関しては話すことを止めたようだった。
 エラはリデルの友人で、デイヴの同僚でもある。
 噂話はよく聞かせてくれるが、それは情報に疎いデイヴを気遣ってだろう。
 エラ本人はそれ程、噂に夢中になるタイプではないのだ。




 それにしても、とデイヴはジェレマイアについて思うところもある。


 王子殿下と共に女生徒に誘惑された?


 お目通りをした事もない第2王子がどのような人物なのか、デイヴには知るよしもないが、ジェレマイアの事なら知っている。

 いや、わかっている。
 だから今回の醜聞には、納得出来ていない。


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