きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
「クラークは結婚式にリデルが来るのか、マーティンに聞いて来たの。
 どういう事か、わかるでしょう?
 あいつ、またリデルとやり直し出来ると思ってるみたい。
 ふざけてると思わない?」

「そんな、あり得ないよ!」


 リデルが驚きよりも怒りで、思わず大きな声を出してしまったので、周囲から視線を集めてしまった。
 グループでテーブルを囲んでいるご婦人方が眉をひそめて、リデルを見ていた。
 これでは、いつかのクラークと同じだ。

 ここは中央治療院の管轄だから、リデルを知る人は少ないだろうけれど、もし担当した患者がここに居たならと思うと、嫌になる。 



 しかし、正面に座ったシェリーはリデルの声に動じることなく、何事も無かったかのように話し続けた。


「ずっと勿体無いな、と思ってたの。
 リデルは顔立ちが整っているのに、お化粧もお洒落もしないでしょう?
 だけどね、それだからこそ、なの。
 わたしに任せて貰えたら、リデルはシーナ先輩なんかより、もっと素敵になるわ。
 クラークはそんなリデルを見て、あぁどんなに後悔しても、もう遅い、と思い知る事になる。
 そしてシーナはリデルの美しさに負けた、と敗北の涙を流す」


 この子は一体何を言ってるんだ、と呆れるリデルだが。
 芝居がかった言葉でシェリーが語る自分は、まるで恋愛小説のヒロインのようで。


 わたしが、あの誰もが美人だと憧れていたシーナ・ワトリーより素敵になる?
 リデルには、そんな自分の姿が想像出来ない。
 けれど、専門の人にお化粧して貰ったら、もしかしたらわたしも綺麗になるのだろうか……

 その姿を思い浮かべようとして、目を閉じてみるが。
 いくらシェリーが褒めてくれても、そんな自分は想像出来ない。 


「そんなの、無理……
 お化粧で綺麗にして貰えたとしても、それに合う服が無いし……」


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