きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

18 エラ

 残念な子だ。
 リデル・カーターは本当に残念な子。
 
 しっかりしているようで、情に訴えられると流されやすい。
 はっきり悪意をぶつけてくる奴には、対抗出来るけど。
 弱みを見せられたら、すぐに同情してしまう。

 
 だから、シェリー・オドネルごときの泣き落としで、欠席するはずだった結婚式に行くと言う。
 
 エラはリデルには教えられない情報を数多く持っている。
 シェリーに関してもそうだ。 
 彼女こそが、カップルクラッシャーのシーナ・ワトリーを恨んでいるはず。


 高等学園2年生だった秋に、工業科の技術室で。 
 商業科のシェリー・オドネルとマーティン・ガイルズが、3年生のシーナ・ワトリーが原因の痴話喧嘩をしていた、と教えて貰ったのだ。
 ふたりは喧嘩をするのに商業科生に知られぬよう、わざわざ違う科の教室まで来てたので、本人達は気付いていないが目立っていたらしい。


 シーナにクラークを奪われたリデルに、シェリーが同情しているのは確かだろうけれど、そこに自分の私怨が混じっているのを、彼女はリデルに隠している。
 

 その上、シェリーが縫ったドレスなんか売り付けられて。
 まだ見てもいないドレスを、リデルはシェリーの言い値で買った。 
 無料で借りるなんて出来ない、なんて。
 そんなの、シェリーの方から着てって頼んでるんだから、とエラは呆れた。

 洋品店を営むセンスが良いと評判のマーティン・ガイルズの母親が
「素人の作ったドレスなんて」と言ったのなら、その程度のドレスなんだろうに。


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