きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 お針子でもない娘が趣味で作ったドレスを、結構な金額で売ったのに、リデルの自宅まで届けず。
 当日に早めに来させて、その場で適当にサイズを合わせる、なんてエラからしたら許せぬ所業だ。

 もし当日に何かトラブルが起こって時間が押したりしたら、最優先は花嫁のシェリーで、リデルはお化粧にしろ着付けにしろ簡単に済まされてしまうだろう。
 そう考えただけで、エラの腸が煮えくり返る。
 

 ドレスは自宅にあるから、とか抜かしやがったら。 
 今すぐ取りに行って渡さないなら返品するので、代金を返せと捩じ込むつもりで乗り込めば。
 月曜日にリデルの物になったドレスは、土曜日の店のショーウィンドウに未だに飾られていた。

『うちの商品で作ったドレスです』と書かれたカードが胸の辺りにピンで止められていて、布と糸の宣伝のためにギリギリまで飾るなんて、抜け目がないにも程がある。

 飾られたドレスは確かに薄いラベンダー色で、形も流行りで悪くはないが、近くで見たら粗もあるだろう。



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