きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 先ず最初に優先されたのは。
 エラが書き出した、リデルのサイズに近いトルソーに着せたドレスの下手な縫い目を、美しく均等に揃える事だった。

 その次に行われたのは、今の流行りではあっても大きく開き過ぎて、上品には見えないと全員が判断した襟ぐり部分をどうするかで。
 支度部屋に保管していると思い出された真珠色の繊細なレースを足した。

 それから案の定、シェリーの身長に合わせた丈は、多分リデルが着ると足首よりも若干短くなり、これでは少々不恰好だが、敢えて短めのドレス丈はそのままにして。
 下に履かせるペチコートに、襟ぐりに付け足したレースと同じものをぐるりと縫い付け、ドレスの裾が動く度にそれが見えるようにした。
 

 アクセサリーは、平民同士の結婚式という格を考慮して。
 ジェレマイアが至急呼びつけた商人が薦める目立ってしまう宝石よりも。
 濃い紫色の上等なビロード製の長めのリボンが選ばれ、それをネックレスのように首に巻く案が採用された。


 明日の朝エルザが受け持つ髪型と化粧は、顔立ちを損なわない、薄くても途中で崩れない、をテーマにメイド達が1番白熱した部分だ。


< 67 / 225 >

この作品をシェア

pagetop