きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 しばらく動かなかったリデルの頭の中で、ゆっくりとパズルのピースが収まった。 
 

 あぁ、もしかしたら……このひとが…… 
 わたしはもしかしたら、恋人と信頼していた先輩を。
 ふたり同時に失ってしまうのね……



 その後は、リデルが危惧していた通りの展開になった。
 クラークはリデルと別れて、これからはシーナ先輩と結婚を前提に付き合う、と言った。


「わたしと先輩は……いつから被っていたの?」


 クラークの文句のような言い分を、一方的に聞かされたリデルがようやく口にした言葉に、クラークが口元を歪ませた。


「言いたいことは、先ずそれか」

「……」

「お前は本当に、可愛げがない。
 だから、俺は嫌になったんだ」


 浮気をしていたくせに、一言も謝罪しないクラークが原因はリデルにあると言いたげなので、先輩の顔を見た。
 この時点まで、彼女はずっと黙ったままだったが、リデルと視線を絡ませるとにっこり笑った。
 それは、自分を慕っていた後輩から恋人を奪った女が浮かべる微笑みではない。


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