きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 こんな女なら、俺は好きに出来るだろうと思い。
 簡単に落とせると信じて。
 絶対に俺を好きにさせると決心した。


 ……リデルとなら、俺も綺麗な大人になれる、と思ってたのに。


 どこで、俺は彼女をあきらめたんだろう。
 
 
  ◇◇◇


 リデル・カーターと別れたので、シーナ・ワトリーと結婚するつもりだ、と夕食の席で話すと。
 

 クラーク以外の家族3人の手が止まった。
 ダイニングテーブルを挟んで斜め前に座る母は口元を押さえ、向かい側の妹フローもカトラリーを手にしたまま兄の顔を凝視している。


 そして隣に座る父は。
 普段なら、クラークが何をしようと、何を話そうと。
 母とは違って、息子にうるさく干渉しない父が立ち上がって、彼の襟を掴み、持ち上げるようにして立たせた。

 父はクラークよりも頭ひとつ身長が高く、若い頃は現場で働いていた事もあって、力自慢で腕も太い。


「おい、今のは俺の聞き違いか?」

「え……」


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