きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 ただ父は母から聞いたのか、リデルと会う前日はクラークの部屋まで来て、
「足りているか」と、小遣いを渡してくれていた。
 今から考えると、それは充分に金を使いリデルを楽しませろ、という事だったんだろう。

 だが父には言わなかったが、リデルはデートをしてもクラークに奢られることを良しとせず、自分の分は自分で払いたがるお堅いところがあったので、それも可愛げない、とクラークには思えていた。


 そんな事は聞いてない、教えてくれていたら、と両親を恨めしく思い、臍を噛むクラークに、フローが止めを刺した。


「あーあ、リデルさんにお嫁に来て欲しかったなぁ。
 家族に看護士が居るなんて、便利だったのに。
 それに誰とでも寝るシーナと結婚したら、ライナーの色を持たない子供が生まれる可能性は高いよね」



 母も妹も、クラークを残して出ていった。
 クラークは立ち上がり、父の書斎を訪れた。
 覚悟はしていたが、意外にも追い返されなかった。

 黙って煙草を燻らせ、息子が何を言いに来たのか、父は待っている。
 

 緊張を解すため、クラークは、大きく息を吸い込み吐いた。


「父さんの期待に、応えます。
 必ず、リデルを取り戻します」


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