きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

22 クラーク

 父には、必ずリデルを取り戻す、と宣言した。

 失敗は許されない。
 それは、長男なのに、商会を継げない事を意味していた。
 長男なのに、妹の婿に、顎で使われる人生。
 そんなのは真っ平だ。

 だから、クラークに失敗は許されない。



 マーティンからは、結婚式当日は他の招待客より早くリデルが来ると聞いて、クラークも早めに到着するようにした。

 挙式前にはリデルを捕まえ、
「後悔している、やり直そう」と言うつもりだった。
 だが、敬虔な彼女が教会ではそんな話を聞きたくなさそうなら、あまりしつこくせずに披露宴会場で、じっくりこれからの話をしようとも思っていた。 

 リデルと復縁してから最初の、今夜のディナーは、値段は張るが美味いと噂の最新の店を予約している。
 今夜は彼女が何と言おうと、絶対に奢る、と決めていた。
 そのためにも隣の席にしてくれるよう、マーティンを拝み倒して了承して貰った。


 お願いされると弱いリデルの性格を、クラークはよく知っている。
 彼女に告白した時もそうで、頼んで頼んで、頭を下げて下げて、交際が始まったからだ。
 だからリデルは下手に出れば、また絆されてくれると思った。


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