きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 クラークがリデルと別れて、約半月。 
 真面目でお堅い彼女には、こんな短期間では新しい男なんていないだろう。


 クラークはリデルとの復縁を簡単に考えていた。

 確かにリデルには新しい男は現れなかったが、かつての想いびとが戻ってきた事など知らなかったのだから。


  ◇◇◇


 予定通り、友人達よりも早めに教会にやって来たクラークだったが、目的のリデルの姿は無い。
 約束を重視するリデルが遅れる事などあり得ないので、どういう事か、マーティンに確認したかったが。
 彼は主役の花婿で、今は多分、控室で親族一同に囲まれているだろう。
 その中に入っていく勇気は無かった。

 
 挙式前にリデルに会えなかったら、式が終わるまで接触は叶わない。
 イライラしながら前方の席に着き、リデルが入ってくるのを見張っていた。
 
 

 リデルよりもシーナの方が早く来た。
 クラークが両天秤に掛けられていたのは事実だが、それを理由にして別れて貰った。
 友人達にはクラークがふられた話にしていたのに、シーナには何故か睨まれて。 

 過剰に意識してしまい、周囲も顔を合わせたふたりに注目している気がして居心地が悪いので、それからは後ろを振り返って入口を見るのは止めた。


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