きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

23 シーナ

 もう会うつもりも無かったクラークに、シーナが男名前で手紙を出したのは、リデル・カーターと付き合っている、と知ったからだ。


 容姿が良くてもてるクラークなので、自分と別れたら、直ぐに次の彼女が出来るだろうと思っていたのに、今も付き合いのある後輩が
「クラークは、まだ誰とも付き合っていません」と言ったので。
 今でもまだ、わたしの事が忘れられないんだ、と気分が良かった。

 ところが卒業を前にして、クラークの方から女に告白した、と聞いた。
 相手は地味なリデル・カーターで、その事を聞かせてきたのも、例の後輩で。
 彼女の口調が
「先輩と正反対のリデルを、って。意外でした」と、何だか面白がっているように感じて、それもまた気分が悪くて。


 シーナはその話を聞くまで、リデルの事は嫌いじゃ無かった。 
 彼女は、異性から人気の高いシーナに対して、妬みや嫉みや劣等感や変な媚びも見せずに慕ってくれていたし。
 将来は看護士を目指していて、仲良くしてても損はないな、と思っていた。


 だが、クラークが自分とは正反対のリデルを選んだことが、シーナの闘争心に火をつけた。
 絶対にクラークを奪い返す、と。


 意外にも、会う事さえクラークは躊躇していて、彼とよりを戻すのは時間がかかりそうだったが、諦めずに飲みに誘った。
 
 何度目かの誘いで、ようやく会って。
 酔ったクラークが、リデルが結婚するまで許してくれないと愚痴っていたので、そこを攻めると簡単だった。
 過去に何度も寝た関係は、そうなると早かった。


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