きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

24 リデル

 これが果たして、シェリーの言う『困った事態』を、助けた事になるんだろうか……

 リデルには、そうとは思えない。
 彼女側の出席者が足りない、と聞いていたのに。
 披露宴の途中からの席の移動が始まってから、リデルは覚え切れない程の、シェリーの親戚を名乗る老若男女から自己紹介を受けていた。



 果たして今回、シェリーはリデルにドレスを貸してまで、出席させる必要があったのだろうか。
 加えて、『あのふたりを見返す』だ。
 それは本当に、どうでもよくなっていたから、別に構わないのだが。


 クラークは何故か、リデルの左隣の席に座っていて。
 これもシェリーの、見返す計画の一環なのかも知れないが、席は離して欲しかった。

 彼はリデルをふったことなどなかったかのように、しれっとした顔で話し掛けてくるので、シェリーの言う、
「もう遅いと思い知る」状態だとは、とてもじゃないが思えないし。

 もうひとりのシーナは、今日はこれまで顔もまともに見ていないので、同じくシェリーが予想した、
「敗北の涙を流している」のか、席が離れ過ぎていて、よく見えない。

 
 結局、美しく変身した自分を見せて、後悔させるとか、負かすとか。
 そんなのは小説の中だけの話で、やはり現実のわたしはヒロインにはなれなかった。
 

 これでは、あんなに尽力してくれたエラ達に
「あのふたりを見返す事が出来たよ」と報告するのは無理だ、とリデルは結論付けた。
 


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