きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 それにしても、とにかくクラークが鬱陶しくて仕方ない。
 あんたと話す事は何もない、と分からせるために背中を向けても、
「なぁリデル、リデル」としつこく肩を叩くのが、馴れ馴れしくて気持ちが悪い。
 リデルが右隣のジョイス先輩と、お互いが勤める治療院の問題点について確認し合っているのに、何故か口を挟んでくる。
 

 それも
「ここで、今する話?」と言いたくなるような、今夜どこかのお店で食べたい夕食の話とか、明日の予定とか。
 それを聞き流しながら、仕方なく適当に、ええとか、そうとか、相槌を打っているだけのリデルに、クラークは気付いていないのだろうか。

 もう付き合っていないのだから、
「あんたの予定を、わたしが知る必要はない」とはっきり言ってやりたいが、ここはお祝いの場で。
 あまりギスギスするのも、おめでたい雰囲気を壊す。
 

 
 以前から聞きたいことがあった、中央治療院に治療士見習いとして働くジョイス先輩とは話が出来たし。
 レジーナとキャロルにも口約束だが、結婚式に招待をされた。
 

 リデルにとって、会うべき人と会い、するべき事は終わった。
 後はシェリーやご家族に、結婚の御祝いとお先に失礼する挨拶をするだけ。



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