きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
「お前っ、俺がここまで折れてやっても、そんな態度か。
 ちょっと見た目がましになったくらいで、何様のつもりなんだよ。
 いいから来いよ!」

 
 いくら脅されても、絶対に行かない。
 あんたが恥をかくのは自業自得なんだから、ここで大声をあげて皆を呼んでやる! と。
 リデルがお腹に力を溜め、悲鳴を上げようとした時。  


「はい、そこまで!」


 ホールの玄関から、声が掛けられた。



 その人は、リデルを迎えに来てくれたエラだった。

 思わぬ闖入者に、クラークはリデルの腕を離した。
 そうだった、彼は自分に愛想を振り撒かないエラを苦手にしていた、とリデルは思い出した。


 エラはつかつかと早足でふたりに近付いて、リデルを背にして、間に立った。


「見てたよ、クラーク・ライナー」

「……」


 エラの口調は静かだが、確実に怒っている。
 それがクラークにも分かるのだろう。
 彼は言い訳も出来ないようだ。


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