きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

26 リデル

「……会いに来て、ごめん」と。
 リデルの手を握り、ジェレマイアは謝った。 


「どうして謝るの」と。
 ジェレマイアに手を握られた、リデルは呟いた。 



 彼はわたしで、遊びたいだけだ。
 そう思って。
 傷付きたくないから、そう思おうとして。
 2度と会いたくない、と自分自身に思い込ませたけれど。
 
 もう認めてしまおう。
 素直になろう。

 リデルは、決心した。
 


「本当は会いに来てはいけない、と分かってる。
 だけど、ケールからリィが花を受け取って、髪に挿してくれた、と聞いたら」

 どうしても、その姿が見たくて。
 ケールに頼んで、馬車の馭者として来た、とジェレマイアは続けた。


「時間になってもリィが出てこないから、ケールに見に行かせたけど、出来るなら俺があの男を」


 きっと彼は、自分がクラークを追い払いたかった、と言ってくれようとしたのだろうが、リデルはもうクラークの話なんかで、この貴重な時間を使いたくないと、彼の腕を引いた。


「教えてジェレミー、何処に行けば、貴方の話を聞けるの?」  

「……ジェレミー、って呼んでくれるのか?」


 昔のように、ジェレミーと彼に呼び掛けたのは、彼女なりに覚悟をしたからだ。
 彼は変わらずに、リィと呼んでくれたのに、リデルは頑なに一線を引こうとしていた。
 でも、もう素直になると決めた。


 
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