ガラクタとおじいさん
ある日、温かくなってしまった額のタオルを替えようと伸ばした『僕の手』を、おじいさんがギュッと掴んだ。
「……おあえあ……があくあ……あんかあ……あい」
耳の聞こえないおじいさんは、うまく言葉を話す事ができない。
……でも、僕にはちゃんと伝わった。
何度も……何度も同じ言葉を繰り返すおじいさんの手を……そっと握った。
おじいさんはいつもの様に優しく微笑むと……そのまま動かなくなった。