WHITE PRINCESS
…………‥‥―――――
「おぉー!結衣!今日も来てくれたんや!」
「大阪にいる時は、来るようにするって言ったでしょう?」
誰も触れてこない。
私の過去や、職業も。
それはその頃の私にとっては好都合だった。
そう、ここで絡む人達とは“この場限り”の関係―――…‥。
憂夜は、たまに 好きだ だの、 付き合おう だの言ってきたけど、本気じゃない事くらい分かってた。
それが楽だった。
楽しかった。
まるでゲームのシュミレーションみたい。
プレイ時間は自分で決められるし、飽きたら来なければいい。
利用し、利用される世界。
だけど、この世界でずっと生きていくという事は、私には想像がつかなかった。
想像したくもなかった。
だから、電話を手にしたのかもしれない。
あの日の朝、急に今の自分が嫌になった。
貯金も、連日泊まるホテル代や飲み代に消えていってた。
朝になると恋しくなる人に会えなくて。
夜になると、別の人に会える。
それを繰り返していたら、ダメな気がした。