WHITE PRINCESS
――――――‥‥……
時計は7時を指している。
玄関先で悩んでいる私は変質者と間違えられてもおかしくない。
もう、20分もこうしているから…‥‥
一年ぶりの我が家は、私が出て行った日と何も変わらない。
―――キイ‥
「杏菜。何やってんの?」
ビクッと肩が上がったのがわかった。
「……‥お兄……‥。」
「早く入れよ。相変わらず変な奴だな。」
家に上がる時、チーチャンが駆け寄って来た。
チーチャンは、家で飼っているトイプードル。
3匹のトイプードルを飼っているけど、私は特別チーチャンを可愛がっていた。
「………‥チーチャン‥…。ごめんね。」
チーチャンを抱きしめた瞬間。
「いだっ!!!」
チーチャンに腕を噛まれた。
「……‥チーチャン、ますます狂暴になったね…‥。」