鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
プロローグ 人質などになりまして
「お、オマエらも道連れにして死んでやる!
オレにはもう、失うものなんてないんだ!」
ほんの数刻前まで上司だった男がつばを飛ばして怒鳴り、ナイフを振り回す。
それをこんな状況だというのに冷めた頭で見ていた。
こんなことをしていったい、なにになるというんだろう?
どうせじきに警察に踏み込まれ、制圧される。
場合によっては射殺なんてこともありえるかもしれない。
素直に罪を認めていれば上層部も少しは穏便に事を運んでくれたかもしれないし、ヤケになって罪に罪を重ねるなど悪手でしかない。
「お、オレは本気なんだからな!」
余裕のない様子でまた元上司が喚き、激しく幻滅した。
知的でスマート、結婚すればよきマイホームパパになるだろうという印象の彼だったが、ここまで短絡的だったとは。
いまさらながら、別れて正解だった。
どうでもいいが、どこで得た知識か知らないが後ろ手に親指同士を結束バンドで縛られ、肩がだるくなってきた。
五十肩で腕が後ろに回らないと嘆いていた支店長も同じ姿勢なので彼の肩が心配だ。
さっきから「ううっ」とかつらそうに呻いている。
オレにはもう、失うものなんてないんだ!」
ほんの数刻前まで上司だった男がつばを飛ばして怒鳴り、ナイフを振り回す。
それをこんな状況だというのに冷めた頭で見ていた。
こんなことをしていったい、なにになるというんだろう?
どうせじきに警察に踏み込まれ、制圧される。
場合によっては射殺なんてこともありえるかもしれない。
素直に罪を認めていれば上層部も少しは穏便に事を運んでくれたかもしれないし、ヤケになって罪に罪を重ねるなど悪手でしかない。
「お、オレは本気なんだからな!」
余裕のない様子でまた元上司が喚き、激しく幻滅した。
知的でスマート、結婚すればよきマイホームパパになるだろうという印象の彼だったが、ここまで短絡的だったとは。
いまさらながら、別れて正解だった。
どうでもいいが、どこで得た知識か知らないが後ろ手に親指同士を結束バンドで縛られ、肩がだるくなってきた。
五十肩で腕が後ろに回らないと嘆いていた支店長も同じ姿勢なので彼の肩が心配だ。
さっきから「ううっ」とかつらそうに呻いている。
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