鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
第五章 現場~猪狩Side~
ひなの〝憧れのお兄ちゃん〟から〝恋人〟に昇格し、幸せを噛みしめていた頃。
――事件は、起きた。
「銀行で立てこもり事件が発生。
出動要請が出ています」
その一報が入ってきたとき、自分の耳を疑った。
その銀行はひなが勤めている銀行だった。
まさか、いやだとしてもひなは人質にはなっていないはず。
そう信じて現場へ向かう。
もしかして俺の聞き間違いで違う支店ではないのかと望みをかけていたが、やはり着いたのはひなのいる支店だった。
「ご苦労様です」
俺は制圧部隊なので差しあたって指示待ちなのだが、それでも現状確認のために立ち上がっていた本部へ顔を出した。
「中の様子は?」
「わかりません。
今わかっているのは犯人はこの銀行に勤める安高孝宏、三十歳。
人質は人数も不明ですがひとりだけ、やはりこの銀行に勤める愛川雛乃さんだと判明しています」
その名を聞いてくらりと目眩がする。
雛乃が、人質になっている?
しかも犯人はあの、お客の金を着服しているとかいう、雛乃の元上司?
追い詰められてなにをするかわからないから注意しろとはひなには言ったが、本当にやるとは思わない。
――事件は、起きた。
「銀行で立てこもり事件が発生。
出動要請が出ています」
その一報が入ってきたとき、自分の耳を疑った。
その銀行はひなが勤めている銀行だった。
まさか、いやだとしてもひなは人質にはなっていないはず。
そう信じて現場へ向かう。
もしかして俺の聞き間違いで違う支店ではないのかと望みをかけていたが、やはり着いたのはひなのいる支店だった。
「ご苦労様です」
俺は制圧部隊なので差しあたって指示待ちなのだが、それでも現状確認のために立ち上がっていた本部へ顔を出した。
「中の様子は?」
「わかりません。
今わかっているのは犯人はこの銀行に勤める安高孝宏、三十歳。
人質は人数も不明ですがひとりだけ、やはりこの銀行に勤める愛川雛乃さんだと判明しています」
その名を聞いてくらりと目眩がする。
雛乃が、人質になっている?
しかも犯人はあの、お客の金を着服しているとかいう、雛乃の元上司?
追い詰められてなにをするかわからないから注意しろとはひなには言ったが、本当にやるとは思わない。