鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
「あの」
「なんだ?」
声をかけられ、係長が怪訝そうに俺の顔を見る。
「人質になっている愛川雛乃はその、俺の……妹のような人なんです」
恋人とは言えず、妹と濁した。
「それはご愁傷様」
係長はどこか他人事だが、身内だからと仕事に私情を挟めないのはわかっている。
「それで電話交渉、俺にさせてもらえないでしょうか」
「はぁっ?」
彼は半ば怒っているが、それはわかる。
同じ特殊係の人間とはいえ、俺は班が違って交渉の訓練など受けていない。
素人同然だ。
それでも。
「俺の声が聞こえれば、ひな……愛川さんが安心すると思うんです。
指示には従います。
余計なことも言いません。
どうかお願いします」
膝につくほど頭を下げた。
係長から返事はない。
無理な相談をしているのは承知の上だ。
「……わかった」
やはり許可はもらえないかと諦めかけた頃、ようやく係長が口を開いた。
「ただし、絶対に余計なことは喋るな。
私情は挟むな。
わかったな?」
「はいっ、ありがとうございます!」
もう一度、深く頭を下げる。
もし、ひなの声が聞ければ無事が確認できる。
「なんだ?」
声をかけられ、係長が怪訝そうに俺の顔を見る。
「人質になっている愛川雛乃はその、俺の……妹のような人なんです」
恋人とは言えず、妹と濁した。
「それはご愁傷様」
係長はどこか他人事だが、身内だからと仕事に私情を挟めないのはわかっている。
「それで電話交渉、俺にさせてもらえないでしょうか」
「はぁっ?」
彼は半ば怒っているが、それはわかる。
同じ特殊係の人間とはいえ、俺は班が違って交渉の訓練など受けていない。
素人同然だ。
それでも。
「俺の声が聞こえれば、ひな……愛川さんが安心すると思うんです。
指示には従います。
余計なことも言いません。
どうかお願いします」
膝につくほど頭を下げた。
係長から返事はない。
無理な相談をしているのは承知の上だ。
「……わかった」
やはり許可はもらえないかと諦めかけた頃、ようやく係長が口を開いた。
「ただし、絶対に余計なことは喋るな。
私情は挟むな。
わかったな?」
「はいっ、ありがとうございます!」
もう一度、深く頭を下げる。
もし、ひなの声が聞ければ無事が確認できる。