鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
そのあいだに入り、彼女を庇って抱きしめた。
同時に腰に、焼け付くような痛みを感じる。

「かーくーほー」

妙に間延びして声が聞こえるのと同時にまた、パーン!と破裂音が響き渡る。
少しして今度は太股に衝撃を感じた。

「……猪狩、さん?」

救出されたというのにひなはなぜか、俺の腕の中で顔面蒼白になって震えている。

「ひな」

彼女の頬を撫で、安心させるように微笑みかける。
ひなの服が血で汚れているのはなんでだろう?
もしかして怪我をしているんだろうか。
それにしても身体が重い。
今にも膝が崩れそうだ。

「だい、じょう……」

とうとう耐えられなくなって身体がゆっくりとひなに向かって倒れていく。

「猪狩さん……!」

彼女の悲痛な叫び声を最後に、意識は途絶えた。



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