鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
第二章 結婚ってなんですか?
『ひなちゃん。
結婚、しよ?』
爆弾発言をしたあと、猪狩さんは私の返事など待たず飛行機の時間があるからと帰っていった。
「えっ?
は?
えっ?」
わけもわからず混乱したままその後を過ごし、気づいたときには住んでいるマンションに帰り着いていた。
それほどまでに私には想定外の出来事で、頭が理解を拒否していたのだ。
「あー、家、落ち着くー」
ソファーにいつも置いてある、猫のキャラクターの大きなぬいぐるみに抱きつく。
ちなみに六つの誕生日に猪狩さんが買ってくれたものだ。
「もう、猪狩さん、結婚しようとか冗談きついよね」
両親とも別れ、ようやくひとりになれて現実が戻ってくる。
うん、きっとあれは冗談だったんだよ。
じゃないといくら小さい頃を知っているとはいえ、私と結婚しようなどと彼が言ってくるはずがない。
「うんうん、きっとそうだ」
……と、私は片付けたんだけれど……。
それからしばらくは何事もなく過ごした。
いや、何事もなくは嘘だ。
職場ではなにやら、不穏な空気が漂いはじめている。
「愛川さん、ちょっと」
「はい?」
結婚、しよ?』
爆弾発言をしたあと、猪狩さんは私の返事など待たず飛行機の時間があるからと帰っていった。
「えっ?
は?
えっ?」
わけもわからず混乱したままその後を過ごし、気づいたときには住んでいるマンションに帰り着いていた。
それほどまでに私には想定外の出来事で、頭が理解を拒否していたのだ。
「あー、家、落ち着くー」
ソファーにいつも置いてある、猫のキャラクターの大きなぬいぐるみに抱きつく。
ちなみに六つの誕生日に猪狩さんが買ってくれたものだ。
「もう、猪狩さん、結婚しようとか冗談きついよね」
両親とも別れ、ようやくひとりになれて現実が戻ってくる。
うん、きっとあれは冗談だったんだよ。
じゃないといくら小さい頃を知っているとはいえ、私と結婚しようなどと彼が言ってくるはずがない。
「うんうん、きっとそうだ」
……と、私は片付けたんだけれど……。
それからしばらくは何事もなく過ごした。
いや、何事もなくは嘘だ。
職場ではなにやら、不穏な空気が漂いはじめている。
「愛川さん、ちょっと」
「はい?」