鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
第四章 立てこもり事件
猪狩さんとの関係はよいほうに進展したものの、職場では私はかなり不利な立場に立たされていた。
「……ねえ」
「……やるわよね」
休憩室でお昼ごはんを食べていたらこちらをちらちら見ながらこそこそ話している人がいて、嫌になる。
「……はぁーっ」
ため息をついて作ってきたお弁当を半分も食べずに蓋を閉じた。
無意識に服の上から、仕事中はネックレスに通して下げている指環を確認する。
それだけで猪狩さんから励まされている気持ちになれた。
……うん。
こんな誹謗中傷には屈しない。
「あ、愛川さん。
ちょっといいかな」
そのタイミングで私を探していたらしい支店長代理が声をかけてきた。
「……ほら」
「……やっぱり」
ただ噂されるのは仕方ないと思えるが、嬉しそうに話されるのは腹が立つ。
「はい」
心の中でまたため息をつきつつ、椅子から立ち上がった。
前に支店長代理に呼ばれたあとくらいから、誰かが貸金庫のお金を着服しているらしいという噂が流れた。
他の銀行で立て続けにそういう事件が二件あり、まだそのときは誰が流行りに乗ったんだよとほとんどの人は冗談で流していた。
「……ねえ」
「……やるわよね」
休憩室でお昼ごはんを食べていたらこちらをちらちら見ながらこそこそ話している人がいて、嫌になる。
「……はぁーっ」
ため息をついて作ってきたお弁当を半分も食べずに蓋を閉じた。
無意識に服の上から、仕事中はネックレスに通して下げている指環を確認する。
それだけで猪狩さんから励まされている気持ちになれた。
……うん。
こんな誹謗中傷には屈しない。
「あ、愛川さん。
ちょっといいかな」
そのタイミングで私を探していたらしい支店長代理が声をかけてきた。
「……ほら」
「……やっぱり」
ただ噂されるのは仕方ないと思えるが、嬉しそうに話されるのは腹が立つ。
「はい」
心の中でまたため息をつきつつ、椅子から立ち上がった。
前に支店長代理に呼ばれたあとくらいから、誰かが貸金庫のお金を着服しているらしいという噂が流れた。
他の銀行で立て続けにそういう事件が二件あり、まだそのときは誰が流行りに乗ったんだよとほとんどの人は冗談で流していた。