鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
「ちなみに誰が私が貸金庫の鍵を持ち出しているを見たなどと言っているのか、聞いてもよろしいでしょうか」
「あの、それはその」
支店長代理が気まずそうに目を逸らす。
言えないのはわかっているけれど。
「聞いてもよろしいでしょうか」
同じ質問を繰り返し、真顔でずいっと彼のほうへと顔を近づける。
「えっ、あっ、その」
両手を前に出して私を抑えつつ、彼はかなり押されていた。
良心は激しく痛むが、ならばもう一押し。
「支店長代理」
「あっ、あっ、安高課長だよ!」
とうとう彼は陥落し、半ば叫ぶように口を割った。
もし、誰かが支店長代理が喋ったことを責めるのなら、それは彼にこんな役目を命じた自分を反省してもらいたい。
「安高課長が愛川さんが貸金庫の鍵を持ち出すのを見た、って」
あの人はそこまでして私に嫌がらせをしたいのか。
本当に腹が立つ。
一瞬、本気で猪狩さんに技を教えてもらい、投げ飛ばそうかと考えてしまった。
「で、でもね」
部屋の中にはふたりしかいないのに、彼がきょろきょろとあたりを確認する。
さらに私へ顔を寄せ、内緒話でもするように声を潜めてきた。
「あの、それはその」
支店長代理が気まずそうに目を逸らす。
言えないのはわかっているけれど。
「聞いてもよろしいでしょうか」
同じ質問を繰り返し、真顔でずいっと彼のほうへと顔を近づける。
「えっ、あっ、その」
両手を前に出して私を抑えつつ、彼はかなり押されていた。
良心は激しく痛むが、ならばもう一押し。
「支店長代理」
「あっ、あっ、安高課長だよ!」
とうとう彼は陥落し、半ば叫ぶように口を割った。
もし、誰かが支店長代理が喋ったことを責めるのなら、それは彼にこんな役目を命じた自分を反省してもらいたい。
「安高課長が愛川さんが貸金庫の鍵を持ち出すのを見た、って」
あの人はそこまでして私に嫌がらせをしたいのか。
本当に腹が立つ。
一瞬、本気で猪狩さんに技を教えてもらい、投げ飛ばそうかと考えてしまった。
「で、でもね」
部屋の中にはふたりしかいないのに、彼がきょろきょろとあたりを確認する。
さらに私へ顔を寄せ、内緒話でもするように声を潜めてきた。