偽りの恋人から一途に愛を注がれています。
2.災難
「聞いた? 経理の西原さん、営業の檜山さんにこっぴどく振られたらしいよ」
「すごい噂になってますよね! 檜山先輩って罪な男ですねー」
昼休み。
女子トイレでは噂話に花が咲いていた。
化粧直しをしているらしい女性社員達の声がトイレ中に響いている。
「西原さんってアレでしょ? ちょっとおっとり系の……」
「そうそう! 顔は悪くないけど地味ーな子。よく檜山さんにいったよねー。普通に脈ないでしょ。我が社のエースだよ?」
「ちょっと優しくされて勘違いしちゃったんだ? ははは」
「ふふっ、もぅ可哀想ですよー。勇気だけは素晴らしいんですから!」
楽しそうに話す声がどんどん小さくなっていく。
どうやら鏡の前を占領していた女性社員達は、トイレを出ていったようだ。
茉莉花はふぅとため息をつきながら、個室の扉を開ける。
(せめて個室に人がいない時に話してよ)
手を洗いながら自分の顔を見ると、ひどく疲れた顔がこちらを見つめていた。
「すごい噂になってますよね! 檜山先輩って罪な男ですねー」
昼休み。
女子トイレでは噂話に花が咲いていた。
化粧直しをしているらしい女性社員達の声がトイレ中に響いている。
「西原さんってアレでしょ? ちょっとおっとり系の……」
「そうそう! 顔は悪くないけど地味ーな子。よく檜山さんにいったよねー。普通に脈ないでしょ。我が社のエースだよ?」
「ちょっと優しくされて勘違いしちゃったんだ? ははは」
「ふふっ、もぅ可哀想ですよー。勇気だけは素晴らしいんですから!」
楽しそうに話す声がどんどん小さくなっていく。
どうやら鏡の前を占領していた女性社員達は、トイレを出ていったようだ。
茉莉花はふぅとため息をつきながら、個室の扉を開ける。
(せめて個室に人がいない時に話してよ)
手を洗いながら自分の顔を見ると、ひどく疲れた顔がこちらを見つめていた。