偽りの恋人から一途に愛を注がれています。
5.変化
 その夜、茉莉花は以前お世話になった女性弁護士に連絡を取っていた。
 もらっていたメモに書かれた番号に電話をかけると、数コールで相手が出る。

「夜分遅くに申し訳ありません。以前、付き纏いの件でお世話になった西原ですが……」

 茉莉花は怪しげな手紙が会社のロッカーに入っていたことを相談した。

(持っていたくないし……でも捨てたら証拠がなくなってしまうし。颯馬さんに相談すると心配させてしまうし……)

 悩んだ末に、弁護士に助言を求めることにしたのだ。

「はい……はい。分かりました。では事務所宛てに送付させていただきます。……いえ、お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします」

 茉莉花は電話を切ると、ホッとため息をついた。

(良かった……。手紙を預かってくれるって)

 女性弁護士からは「こちらで確認して警察に提出しておきます」と言ってもらえたのだ。

 茉莉花は早速怪しい手紙を新しい封筒に入れ、弁護士事務所の住所を記す。そして通勤カバンの中にそっとに入れた。

「明日の昼休みにでも出しておこうっと」



 やるべきことを終え、ベッドに倒れ込む。
 するとピコンという音ともにメッセージが届いた。



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