幼なじみは、私だけに甘い番犬
空白の3年間
(玄希視点)
 
 4月下旬、昼休みの教室。
 窓際に程近い席で昼食を食べ終えた玄希は、仲良くなったクラスメイトの町田(まちだ) 純也(じゅんや)とスマホでオンラインゲームをしている。
 そこへ、クラスメイトの女子が声をかけて来た。

「長谷川くん」
「……ん?」

 視線はスマホに落としたまま、返事だけすると。

「前の学校って、どこだったの?」
「……」
「数学の小テスト、満点だったの……長谷川くんだけだったし、有名な進学校だったの?」
「……別に、普通の高校だよ」
「嘘だ~」
「何を根拠に?別に進学校に通ってなくたって、テストで良い点取ることくらい出来んだろ」
「っ……まぁ、そうかもだけど」

 俺が誰に対しても塩対応なのは昔から。
 根掘り葉掘り聞かれるのも好きじゃないけど、目から『お近づきになりたい』ビーム出してる女は、ご遠慮願いたい。

「どこら辺の学校だったの?」
「…………関西」
「関西のどこら辺?」
「それ聞いて、あんた場所分かるのかよ」
「っっ……」

 悔しそうに口元をぎゅっと結ぶ女子をチラ見して、小さな溜息を吐く。

「大阪だけど、京都寄り。山も近くて結構田舎だった。住んでたのは10階建ての賃貸マンション。家から高校までは徒歩10分くらい。教えられるのはここまで。……気が済んだか?」
「あっ、……うん」

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