幼なじみは、私だけに甘い番犬
自覚した想い
(椰子視点)

 5月下旬のとある日。
 3限目の授業が理科のため、理科室へと移動している椰子と龍斗。
 琴乃は担任に呼ばれて職員室に行っているため、不在。

「GWに玄希と何かあった?」
「え?」
「最近、ちょっと2人の雰囲気が変わったなぁと思って」
「……そ、そう?」

 龍くん、結構よく見ているんだね。
 言われてみて、納得というか。
 やっぱりあの旅行以来、玄希との距離が縮まった気がする。

 いや、元々距離的には近すぎるくらい傍にいるんだけど。
 心の距離がぐっと近づいた気がする。

 たぶん、それは……。
 私が玄希の気持ちを少しずつ受け入れているからだと思うけれど。

 頭では分かっているつもりだった。
 東京を離れて、大阪で治療するのを決めた経緯も。
 言うに言えずに、私のことを考えて決断したということも。

 だから、3年間音信不通で放置されたこと自体は分かっているつもりだった。
 だけど、それと『彼女』になるというのとはまた別の話で。

 近くにいすぎて、安牌を選んだに過ぎないとずっと思っていた。
 お互いに何でも知っているし、両親からの信頼も厚い。
 いつでも2人1セットで、それが当たり前だったから。

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