いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!
独占欲 裕斗side
 その告白は、裕斗が麻衣子に復縁を迫り、しばらくしてからのことだった。

『あの子はあなたの子供です』

 彼女は先日連れていた女の子が、裕斗の子供だと言ったのだ。

『……っ!』
『あなたに知らせないまま産んで、今日までずっと隠していたことを申し訳なく思っています』

 一瞬、頭の中が真っ白になり、言葉がなにも出てこなかった。

 他の男との子供だと思っていた子供が、実は自分の子だった。

 全身をめぐる喜びがある一方で、自分がいつの間にか父親になっていたという事実に、思考が上手く纏まらない。

『ま、待ってくれ……どういうことなんだ? あの子が俺の子だなんて』
『裕斗さんと別れた後に妊娠が発覚したの』
『……それならなぜ俺に知らせなかったんだ? 父親の俺に黙ったまま産んだ理由は?』

『知らせない方がいいと思ったんです。当時はいろいろな問題があって……でもすべて言い訳です。本当にごめんなさい』

 頭を下げる麻衣子の姿にはっとして我に返り失敗を悟った。混乱のあまり、つい問い詰めるような言い方をしてしまったのだ。

 すぐに謝罪をしたが、彼女は罪悪感を抱いているようで、裕斗の言葉が届かない。

 誤解を解こうとしたが、麻衣子が更に驚愕の発言をした。

『……三つ子?』

 ひとりでも驚愕なのに、三つ子だとは。

 突然自分が三児の父親になったという事実に、強いショックを感じる。

 重い責任が肩にずしりとのしかかったような気がした。

(いや……麻衣子は三人の子供をひとりで育ててきたんだ)

 プレッシャーに苛まれている場合ではないと、気持ちを切り替える。

『裕斗さんが会った女の子が小春で、他に男の子がふたりいるんです。長男の大樹と次男の柚樹。ふたりは小春よりも大きくて元気いっぱいなんです』
『小春に、大樹に柚樹……』

 今日、初めて知った我が子。名前を口にすると、複雑な感情がこみ上げる。

 会ったこともないのに、とても大切な存在だと感じる。揺らいでいた心が穏やかになり、ようやく彼女に労りの言葉をかけることができた。

 麻衣子は別れに至った理由と、これまで出来事も打ち明けてくれた。

 隠し事がなくなったからか、麻衣子のどこかぴりぴりしていた雰囲気が変化した。

 この先彼女が裕斗のもとに戻って来てくれるかは分からない。

 それでも、希望が見えた気がした。

 その後、三つ子と会わせてもらい、交流を持つまでに至った。

 子供たちは素直ないい子だ。ここまで育ててくれた麻衣子に感謝を感じた。

 
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