いきなり三つ子パパになったのに、エリート外交官は溺愛も抜かりない!

「麻衣子さん、そろそろ時間ですよね、代わりますよ」

 店の奥から、麻衣子と同じエプロンを着けた若い女性がやってきた。

 彼女は麻衣子の同僚で年齢は四歳下だが、同じ時期に仕事を始めたので、同期のような感覚で親しくしている。

 他にも幅広い年齢のスタッフがシフト制で働いているけれど気がよい人が多く、子供の関係で急遽休まなくてはならないときなど協力してくれ、とても助かっている。  

「ありがとう。ここを片付けたら上がらせてもらうね」

 麻衣子はてきぱきと手を動かして、五分後には「お先に失礼します」と声をかけて店を出た。 

 同じショッピングセンター内のスーパーで買い物をしてから、保育園に三つ子を迎えに行き帰宅した。

 時刻は午後五時三十分。仕事も買い物もお迎えも車で移動なので、時間が短縮出来て助かっている。引っ越しをした当時は東京に比べて不便が多いだろうと覚悟していたけれど、そんなことはなかった。

 保育園を探すときも、兄妹が別の園にならずに済んだし、子育てをしやすい環境が整っていて今の麻衣子にとって暮らしやすい街だ。

 自宅の駐車場に車を止める。愛車は三つ子を出産後に中古で買った、小回りが利くミニバンだ。ジュニアシートは二列目に小春のものを、三列目に大樹と柚樹のものを設置してある。
 三人とも幼い頃から車移動なので慣れていて、嫌がらずに座ってくれる。

 スライドドアを開けて、まずは小春を下ろす。麻衣子が持ち上げやすいように、抱っこをせがむように手を上げて待っている姿が可愛い。大樹と柚樹は自分で地面に飛び降りた。

 大樹が道路の方に視線を向けると、何かに気づいたように目を丸くした。

「あっ! えまちゃんとなつめせんせいだ!」
「え?」

 大樹の視線を追うと、駅方向の道から、ふたりが歩いてくるところだった。
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