救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~

27 封じられた魔法

(……ダミアンの知り合いなのかしら? それに、なんだか話し方が)

 ダミアンは冷静にそう言い、サブリナはそれまでの彼ではない気がして、違和感があった。

「うるさいうるさい。お前になど、俺の気持ちなど、わかる訳もない。お前は一体なんなんだ。大したこともやっていないというのに、お前が世界で一番の魔法使いだと皆が持て囃す。周囲の皆を地獄に巻き込むお前のような奴は、悪魔のような妙な魅力を放つんだ。誰も幸せに出来ないというのに」

 コードウェル公爵の姿はみるみる内に変わり、そこには黒いローブを着た男が佇んでいた。

 銀色の髪に血の色に見た赤目の男。容貌は整っているものの、歪んだ表情を浮かべ、苛々とした様子を見せていた。

「……では、お前が世界で一番の魔法使いで良いではないか。僕はそれで別に構わない」

「お前のそういうところが、本当に嫌いだよ。心からな」

 冷静に返したダミアンに、モードレッドと呼ばれた男は答えた。

(世界で一番の魔法使い……? それって)

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