救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~

29 死の覚悟




 捕らえられて魔力を封じられた魔法使いモードレッドは、双方魔法使いの戦いだというのに、ルーファスに殴られて肉弾戦で負けて一時は心神喪失してしまっていたらしい。

 ようやく気力を取り戻したのか、『魔界の門』の封印を破壊したことを認めないらしいが、彼が意気揚々とルーファスへ自分勝手な犯行について語っていた事は多くの者が目撃し証言していた。

 モードレッドがなり代わった標的コードウェル公爵は、まだ見つかっていないことから、コードウェル公爵家より厳罰並びに何処に居るのか自白させるように求められているそうだ。

 自分を英雄視してもらうために、意図的に多くの人を危機へと陥れ、それを救おうなどと言語道断だと魔力を封印された上に重罪に課されることは間違いないだろう。

「誰が魔界の門の封印を解いたのかは、ようやく判明したけれど……結局、ルーファスは眠ったままね」

 魔力を使いすぎて倒れた三日前から、ルーファスは眠ったままだ。

「……仕方ないと思うよ。格下相手だとしても数え切れないくらいの攻撃を防ぎきったんだからね。魔力を極限まで削られて、回復に時間が掛かるのか仕方ないことだろう」

 ルーファスが眠ったままで居るベッド際にサブリナはたたずみ、そんな彼女の肩には小妖精パックが載っていた。

 王家の森に住んでいる妖精たちもモードレッドがどうなるか気になり、あの夜見ていたらしい。そして、パックは当たり前のような顔をして、落ち込んでいたサブリナの前に現れた。

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