救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~

32 木の上の邸宅

「あれって……全部が全部、あの時の私を助けるための嘘だったと言うことなの?」

 ルーファスから事情を聞いたサブリナは、目を見開き信じられない思いだった。

 これまではルーファスが『誰と自分の事を勘違いしているのだろう』と、もやもや悩み続けた長い時間が頭の中を掠めた。

 けれど、あの時にサブリナ本人だって思っていた。きっと彼は困っている自分を助けてくれようとして声を掛けたのだから、ここは話を合わせて立ち去ろうと……。

 だが、ルーファスを追い掛けてきた面々を見て、思わぬ緊急事態に何もかもが吹き飛んでしまっていた。

 そんな簡単な流れでアシエード王国の滅亡の危機を救ってくれるなんて、通常ならば考えられないではないか。

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