救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
05 偽りの恋人
「ふーん……立派な邸だね」
王家の森近くにある邸を見上げ、魔法使いらしく黒いローブを羽織ったルーファスはそう言った。
用意されたのは、豪華な白い邸だ。けれども、彼はそれを喜んではいないようだった。
「ルーファス様に滞在して頂けるように、こちらをご用意致しました。お好きにお使いください。サブリナ。ご挨拶を」
「ルーファス様。私の願いを聞いてくださり、本当にありがとうございます」
ルーファスに丁重な扱いをする父に促されカーテシーをしたサブリナは、彼がここで何を言うかと緊張していた。
自分の名前を聞いたならば、彼はサブリナと誰かと勘違いしていることに気が付くかもしれないと思っていた。
(とは言え、ここで名乗らない訳にもいかない……ものね)
サブリナは緊張しつつルーファスを見つめたが、彼は問題なく微笑み彼女へ手招きをした。
「ああ。サブリナ……かしこまらなくても良い。少し話そう。来てくれ」
名乗っても『お前は誰だ』とは、言われなかった。心配していたサブリナは胸に右手を置いて、ほっと息をついた。
「はい」
ルーファスから邸に入ろうと促され、サブリナはその場から前へと出た。
父フレデリックはその場から動かず娘からの視線に頷き、役目を終えた自分は、ここで帰ることにしたようだ。
王家の森近くにある邸を見上げ、魔法使いらしく黒いローブを羽織ったルーファスはそう言った。
用意されたのは、豪華な白い邸だ。けれども、彼はそれを喜んではいないようだった。
「ルーファス様に滞在して頂けるように、こちらをご用意致しました。お好きにお使いください。サブリナ。ご挨拶を」
「ルーファス様。私の願いを聞いてくださり、本当にありがとうございます」
ルーファスに丁重な扱いをする父に促されカーテシーをしたサブリナは、彼がここで何を言うかと緊張していた。
自分の名前を聞いたならば、彼はサブリナと誰かと勘違いしていることに気が付くかもしれないと思っていた。
(とは言え、ここで名乗らない訳にもいかない……ものね)
サブリナは緊張しつつルーファスを見つめたが、彼は問題なく微笑み彼女へ手招きをした。
「ああ。サブリナ……かしこまらなくても良い。少し話そう。来てくれ」
名乗っても『お前は誰だ』とは、言われなかった。心配していたサブリナは胸に右手を置いて、ほっと息をついた。
「はい」
ルーファスから邸に入ろうと促され、サブリナはその場から前へと出た。
父フレデリックはその場から動かず娘からの視線に頷き、役目を終えた自分は、ここで帰ることにしたようだ。