救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 慎重に言葉を返したサブリナに、ルーファスは微笑んだ。

 彫像のように整った顔が微笑むと、魔法使いという職業ゆえだろうか、妙に妖しい魅力を放ったように思えた。

(なんだか、紫の瞳に……吸い込まれてしまいそうだわ)

 魅了の魔法を掛けようとしているのではないかと思えるほどに、彼の紫の瞳は美しく、そして強く惹き付けられてしまうような気がした。

「……サブリナ。君はここへとどのくらい、訪ねて来てくれるの?」

「はっ……はい。良ければ、毎日……もし、ルーファスが、その、よろしければ」

 緊張してたどたどしく言った言葉に、ルーファスはまた微笑んだ。

「もちろん。君が会いに来てくれれば、嬉しい。そうでなければ……」

 ルーファスはそこで言葉を切り、意味ありげに微笑んだ。だが、疑問に思ったサブリナにも、その言葉の先は何とは聞けなかった。

(そうでなければ、そうでなければ、何だというの……?)

 内心冷や汗をかきながら、ルーファスへ笑顔を返すようにして、サブリナも無言で微笑んだ。

 何に気を付ければ良いかもわからぬまま手探りで、ルーファスの偽恋人役として役目をこなさなければならない。

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