救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
07 拡声魔法
マッカーシー侯爵邸でのお茶会が終わり、サブリナが王家の森のほど近くにあるルーファスの邸へと辿り着いた頃には、一時間前ほどに降り出していた雨は時間を追うごとに段々とひどくなっていた。
「まあ……今夜は嵐になるのかしら」
強い雨を揺らすようにして風も吹いて来たので、これから雨と風がより酷くなってしまうかもしれない。
だから、サブリナは悪天候の中で馬車を走らせて帰ることは難しく、今夜はルーファスの邸に宿泊するために部屋を借りることになるかもしれないと考えていた。
王家の森は王都からほど近い場所にあるものの、人通りは多いとは言えずに、綺麗に整備されている道が続いているとは言い難い。
サブリナがルーファスの住む邸へと入ろうとした時に、拡声魔法による放送が聞こえた。
『……放送致します。昨日昼前に王家の森の近くで、薬草取りをしていた五歳のフレディ・スチュワートくんが、行方不明になっております。幼い年齢で、家族も心配しております。もし、お見かけになられた方は、近くの騎士団派出所までご連絡ください。これから、悪天候にて命の危険があります。繰り返します……』
アシエード王国での拡声魔法によるこのような放送が行われることは、それほど頻度が高い訳ではなかった。
命に危険があるような事件でもないと、アシエード王国公的機関から使用許可が下りないためだ。
(昨日から……幼い子どもが、この近くで行方不明なの? 心配だわ。早く見つかると、良いのだけれど)
「まあ……今夜は嵐になるのかしら」
強い雨を揺らすようにして風も吹いて来たので、これから雨と風がより酷くなってしまうかもしれない。
だから、サブリナは悪天候の中で馬車を走らせて帰ることは難しく、今夜はルーファスの邸に宿泊するために部屋を借りることになるかもしれないと考えていた。
王家の森は王都からほど近い場所にあるものの、人通りは多いとは言えずに、綺麗に整備されている道が続いているとは言い難い。
サブリナがルーファスの住む邸へと入ろうとした時に、拡声魔法による放送が聞こえた。
『……放送致します。昨日昼前に王家の森の近くで、薬草取りをしていた五歳のフレディ・スチュワートくんが、行方不明になっております。幼い年齢で、家族も心配しております。もし、お見かけになられた方は、近くの騎士団派出所までご連絡ください。これから、悪天候にて命の危険があります。繰り返します……』
アシエード王国での拡声魔法によるこのような放送が行われることは、それほど頻度が高い訳ではなかった。
命に危険があるような事件でもないと、アシエード王国公的機関から使用許可が下りないためだ。
(昨日から……幼い子どもが、この近くで行方不明なの? 心配だわ。早く見つかると、良いのだけれど)