救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~

12 あの時の理由

「それが、何故なのかは、今でも良くわかっていない。あの日、魔女アデライザが魔界の門の封印が解けたと慌ててやって来て、国王陛下へとこのままではすぐに開いてしまいそうだと半狂乱になりながら、知らせてな。私たちも国王陛下を交えての会議中だったので、その大騒ぎになった現場に居合わせたんだ」

「まあ……そういうことだったのですね」

 ルーファスがアシエード王国へと召喚され、父とゆっくり話が出来たのは、あの日の馬車の時間とこの日だけだ。

「そして、魔女アデライザから水晶玉で魔界の門が開きそうになっていた光景を見せられて、これはまぎれもなく真実なのだと、我々もその時に思い知ったのだ。そして、魔女アデライザに何か方法がないかと詰め寄れば、自分には封印を施すことは出来ないが、大魔法使いと呼ばれる存在であれば、あるいはと……」

「それで、ルーファスが召喚されることとなったのですね」

 大魔法使いと呼ばれる人物は、世界でも数人居る。

 ルーファスはその筆頭だ。大陸にもその名が知れ渡るほどに魔力も強く、そして、姿を見た者もあまり居なかった。

「ああ……魔女アデライザはルーファス様とは、一度面識があったそうだ。だから、助力を願えるかもしれないと召喚したんだが、まあ……結果は、あの通りだ」

 召喚され不機嫌になったルーファスは、その犯人である魔女アデライザを追い掛けて、夜会が催されていた大広間にまで逃げてきた。

 そして、サブリナを見掛けて彼女に『遅くなってごめん』と、声を掛けて来たのだ。

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