救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 もし、父が認めるような求婚者が現れたなら、その人との仲を深めるべきだろうし、ここから短期間で結婚することを考えれば、ラディアント伯爵領に戻ってゆっくりもしていられないと思って居たからだ。

「ああ……なんだか、故郷を思い出すな。僕が産まれたのは、海辺にある公国でね」

「……はい」

 遠い目で海を見て話し出したルーファスに、サブリナは驚いていた。

 ルーファスの過去は彼女が疑問に思い知りたかったことでもあったけれど、それは不用意に質問してはいけないような事だろうと思っていたからだ。

「僕はその街で暮らす、大公の息子だった。不思議なことに、僕が産まれてからというもの、魔物たちの襲撃に晒されることが多くなった……強い海軍を抱えていたが、どんどん疲弊してしまってね」

 ルーファスが貴族然としていた謎は、それで解けた。大公と言えば公国の君主……つまり、公子とも言える身分を持っていたのだろう。

「まあ……大変でしたわね」

 サブリナは素直にそう思ったのだが、ルーファスは彼女を見て、面白そうに微笑んだ。

「ああ。そして、小さな公国は幾度もの襲撃を受け、ついには滅びてしまった。僕は忠誠心の高い騎士たちに守られて、命からがら逃げ出してね。そして、逃走している時に気がついたんだ。魔物が狙っていたのは、あの国にある何かではない。僕のこの身体なのだとね」

「……えっ? その……ルーファスが、狙われていたのですか?」

 淡々とした口調で語られる、ルーファスの過去は壮絶だった。

 滅んでしまった故郷、そして、それは自らが原因で起きたことだと知った彼の気持ちを。





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