リアル・アクション・アプリ
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翌日の朝は少し寝不足のまま2年B組の教室に入り、大きなあくびをひとつした。
「瞳おはよー! 瞳がそんなに眠そうなのって珍しいね?」
先に登校してきていた知里が片手を上げて声をかけてくる。
私はもう1度出そうになるあくびを噛み殺して自分の席についた。
「この本読んでて、夜ふかししちゃった」
カバンの中から取り出して見せたのは昨日借りて帰った恋愛小説だ。
図書室では昇のことを妙に意識してしまって読みすすめることができなかったから、結局借りて帰ることになった。
昇も、1000ページもある都市伝説詰め合わせ本はさすがに読み切ることができなかったみたいで、私と同じように借りて帰っていた。
「瞳のことだから徹夜で勉強してたのかと思った」
「さすがにそんなことしないよ。テスト前じゃないんだし」
そんな他愛もない会話をしていると昇と美穂も登校してきた。
私はグルリと教室内を見回してみる。
今日も欠席者はゼロ。
と、頭の中で確認するのはもう癖になっている。
こうしていつも通りの日常が始まる。
そう思っていたときだった。