リアル・アクション・アプリ
☆☆☆

「今朝中条先輩にバッタリ会ったけれど、他に参加者はいないのかな?」
教室へ戻ってきた途端、知里がそんなふうにこぼした。
「あの場所に5人しかいなかったんだから、他の参加者はいないってことだろ」

昇が腕組みをして返事をする。
この学校内で鯉といえばあの池のことになる。

学校内に参加者がいれば、あそこで集合できたはずだ。
「どうしたの知里、なんか不安そうな顔してるけど」

「うん。なんか人数少ないと不安になっちゃった」
そう言って苦笑いを浮かべる。
「そんなの気にすんなって。みんな賞金なんて嘘だと思って参加しなかったに決まってるだろ」

と、昇は楽観的だ。
「この学校に参加者がいなくても、他には沢山いると思うよ?」
あのメールは私達だけに送られてきたものじゃない。

知里が不安になるような必要はないはずだ。
「そうだよね。変なこと言ってごめん」
知里がそう言ったとき、美穂が元気よく「ただいまぁ」と言いながら戻ってきたのだった。
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