リアル・アクション・アプリ
取り戻す
スマホを取り上げられるだけじゃ【R‐リアル】からの通知は止まらないはずだ。
今この瞬間に通知が来ていたらどうしよう?

制限時間が刻一刻と過ぎて行っていて、ミス2になっていたら?
そんなことを考えるとやっぱり朝ごはんを食べる気分じゃなくなってしまった。

「瞳、本当に大丈夫なの?」
最近朝ご飯が食べられなくなっている私を心配して、お母さんが玄関まで送ってくれた。

「大丈夫だよ」
と、生気のない声で返事をするのがやっとだ。
私のことが心配ならスマホを返して!

そう言いたかったけれど、朝から喧嘩をする元気も残っていなかった。

重たい体を引きずるようにして学校に到着すると、知里と昇のふたりはすでに登校してきていた。

だけどふたりとも自分の席に座ってぼーっとしている。
時間があれば本を読んでいた昇だけれど、最近はそんな姿も見ていない。

【R‐リアル】が私たちの日常を壊したんだ。
「知里、昇、ちょっと相談があるの」
まるで腑抜けになっているふたりを廊下に呼び出すと、昨日両親との間で起こった出来事を説明した。
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