トライアングル
始業式も終わって教室に戻り、休み時間に智也が控えめに話しかけてきた。


「あのさ!笹倉は…あ〜ゆ〜教師、どう思う…?」

「あ〜ゆ〜教師って…藤堂って先生のこと?」


普段は『笹倉に彼氏なんかできるわけない』って、しょっちゅう言ってたのに、珍しく異性について聞いてきた。


「私?…まず、年が近い人希望してるからな〜。パスかも。」

「そっか…!!」


その会話を聞いていた美香が、口を開いた。


「…まさか智也、舞の事気になるとか!?」


突然、美香がそんな事を言い出した。
まさか…そんなはずないよ!
智也がそんなこと、思ってくれるはずないし…。

その答えを智也が小声で言った。


「…まったく気にしてないわけじゃない…。」


その一言だけを言って、智也は教室を出た。

それって…?気になっているってこと!?

私…そんなこと言われたら、うぬぼれちゃうよ…!!


「…私はさ、冗談半分で聞いたんだよね。まさか本気で答えるとは思わなかったよ。」
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