桜と果実
夏のはじまり
間も無くして夏休みを迎えた私は、学校の夏期講習と仕事に追われて忙しい日々を過ごしていた。
加えて大学進学を考えている私は塾にも通わされており、勉強机に向かうかカメラの前でポーズを取るかの二極化の生活を送っていた。
家族は変わらず私には冷たく、家にいる時間が増えてもほぼ会話は無い。寧ろ家に居るとサボっているのではと邪推され肩身が狭い。
彼らは塾に通わせておけばなんとかなると思っている節がある。
優秀な兄や姉ならそれで良かったかもしれないが、地頭がそれほど良くない私は授業の内容を追いかけるので精一杯だ。
それでも唯一私を輝かせてくれる仕事の為、そして卒業と同時に家を出る為に私は日々テキストに向かいあっていた。