【プロット】エリートパイロットの溺愛からは逃げられません

あらすじ

 名古屋にあるラグジュアリーブランドでショップ店員として働く辰巳清香は、仕事と育児に追われるシングルマザーである。
 元キャビンアテンダントということもあり、持ち前の語学力と接客力を活かしてショップ店員として安定した売上を誇っている。そのため、周囲からの信頼も厚い。
 仕事が終わり息子の空を保育園へ迎えに行った帰り、見上げた夕焼けの空に飛行機が飛んでいるのを見つける。それを見た清香は、キャビンアテンダントとして働いていた頃の思い出と、かつての交際相手、神崎隼人の姿を思い浮かべてしまうのだった。
 その夜。空を寝かしつけてから、清香は語学の勉強を始める。彼女は再就職してからも、キャビンアテンダントとして仕事に復帰する夢を諦めきれずにいたのだ。
 しかし、清香は周囲の反対を押し切って未婚の母となったことを理由に両親と絶縁状態にあるため、頼れる人は少ない。空のことを考えると、一歩踏み出せずにいた。
 翌日。清香の働くブティックに、隼人が来店する。
 内心動揺するものの、清香は何とか落ち着いた態度で接客する。そんな彼女に、隼人もあくまで「客として」の質問しか投げてこない。
 その後財布を購入した隼人は、会計時に清香と連絡先を交換する。ショップ店員は業務用のスマートフォンをもっているため、顧客との連絡先交換も仕事のうちなので清香は断ることができなかった。店の入口で隼人を見送りながら、清香は彼と出会っかからの日々をぼんやり思い出していた。
 清香は大学時代、アメリカに留学していた。しつこくナンパされて困っていた彼女を隼人が助けたのをきっかけに、二人は知り合う。
 やがて二人の仲は交際に発展し、帰国して同じ航空会社に就職してからも仲睦まじく過ごしていた。
 そんなある日、大企業の社長令嬢である美園乙葉が隼人を気に入ってしまう。彼女は清香に対して「貴女は隼人さんと釣り合わない」と言い放ち、身を引くよう圧力をかける。
 清香は身を引くことを決め、航空会社を退職して住んでいた東京から離れた名古屋へ移り住む。
 そして再就職先を探していたタイミングで、妊娠が発覚する。清香は両親の反対を押し切って、隼人との子を産む決意をする。空を出産してから、清香は一人で息子を必死に育ててきたのだった。
 清香は隼人との再会に戸惑ったものの、連絡先を交換してからも自分から連絡することはなかった。
 空の三歳の誕生日を大阪から名古屋に遊びに来てくれた兄夫婦と祝っていた時、スマートフォンに隼人から連絡が入る。内容は「俺との子を一人で育てていると聞いた。良かったら、一度会ってゆっくり話したい」というものだった。
 清香は空と隼人を会わせることを迷ったものの、隼人にも息子に会う権利はあると思い、承諾する。
 約束の日。空が食物アレルギー持ちのため、隼人は待ち合わせ場所としてアレルギーに配慮したカフェを選んでくれていた。また彼は、空に誕生日プレゼントまで用意していた。
 それだけではない。隼人はランチのデザートに清香の好物のチョコレートケーキが出てくる店をあえて選んでいたのだ。隼人が自分の好物を覚えてくれていたことを、清香は嬉しく思う。
 帰り道、空は清香が抱っこして寝てしまった。途中まで自分が抱っこしようかと隼人は言うが、彼のことをまだ信じきれていない清香は断る。
 そして別れ際、隼人は清香に復縁を申し出る。隼人は清香が乙葉から圧力をかけられていたことを知らなかったのだ。
 身を引くと決めたため、清香は頷かなかった。しかし、隼人が空と定期的に会うことは許したのだった。
 顔合わせの次の日。清香は仕事の昼休み中に昼食を食べながら語学の勉強をしていると、店長の宮田がやって来る。
 宮田は清香がキャビンアテンダントとして復職したいと思っていることに気づいており、「貴女には夢を諦めて後悔してほしくない」と清香に言う。その言葉を聞いて、清香の心は揺らぐ。
 それから十日後、清香と空、隼人は航空博物館を訪れる。空は隼人から飛行機のぬいぐるみをもらってから、飛行機に興味を持ち始めていたのだ。
 隼人は服のポケットに動物のマスコットをいくつか入れて持ってきていた。前回空に警戒されていたため、空と仲良くするため彼なりに考えてくれていたのだ。
 博物館にある飛行機の操縦体験に、三人も参加する。操縦席に座って本番さながらの様子で体験に取り組む隼人の姿に、清香はつい見とれてしまう。
 その後も隼人は、空も含めた三人で遊びに行く機会を定期的に設けた。自分だけでなく空も大切に思ってくれる隼人の優しさに触れて、清香も隼人に対する気持ちが強くなっていく。
 そんなある日、清香は仕事中にブティックが入っている百貨店のVIPルームに呼び出される。そこにいたのは、乙葉だった。
 乙葉は隼人と清香が定期的に会っていることを聞きつけたようで、隼人に近づくなと清香に命じる。
 清香は隼人と、これ以上関わらないと決意する。しかし、空は隼人に懐き始めていたため、父と子を引き離す罪悪感に苛まれる。
 そんな葛藤の中、隼人は再び清香に復縁を申し込む。彼女は自らの気持ちを抑えることはできず、ついに二人は一夜を共にする。
 しかしその数日後、乙葉が根回ししたことにより、清香はブティックを不当に解雇されてしまう。
 さらに乙葉は清香の家に押しかけて、隼人に住所を知らせず遠くに引っ越せと彼女に言う。さすがにそれはできないと清香が断ると、乙葉は清香に掴みかかる。
 そこに隼人がやって来て、彼は自分のいない場所で清香に圧力をかけていたのが乙葉であることに気づく。
 隼人は乙葉に向けて「何があっても、俺が愛する人は清香だけだ」と言い放つ。真正面からノーを突きつけられた乙葉は、泣いて走り去る。
 騒動が終わった後、清香は空港のグランドスタッフとして復職していた。
 そして退勤してから、彼女は隼人と共に空港内の保育所に空を迎えに行く。三人で向かうのは自宅ではなく、空港のゲート。これから飛行機に乗って、和解した清香の両親と兄夫婦たちと沖縄旅行に行くためだ。
 キャビンアテンダントとして飛行機に乗るのもやりがいがあって楽しかったけど、家族で乗る飛行機も違う楽しさがあるな……と思いながら、清香は愛する家族たちと共に初めて乗る飛行機を楽しむのだった。

 終
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女

総文字数/8,125

恋愛(ラブコメ)15ページ

第7回ベリーズカフェ恋愛小説大賞エントリー中
表紙を見る
怜悧な裁判官は偽の恋人を溺愛する

総文字数/69,399

恋愛(純愛)120ページ

マカロン文庫大賞2024エントリー中
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
  • 書籍化作品
  • コミック掲載中
[原題]一晩だけあなたを私にください

総文字数/103,394

恋愛(オフィスラブ)243ページ

表紙を見る
表紙を見る
表紙を見る

この作品をシェア

pagetop